デンソーウェーブプライベートショー 2024年3月

イズミビジョンラボ都築が展示会にて興味があった技術のメモとして残してあります。

見学内容

今回は主にセミナーを聴講してきましたのでセミナーの概要を記載します

  • リアルタイム制御ソフトウェアTwinCATを活用した高精度アプリケーションの実現
    • デンソーロボットコントローラーRC9は、ベッコフIPC上で稼働するTwinCATで制御されている。
      今回は自動化装置3事例において、どのようなモジュールを活用しエコなアプリケーション作成につなげたかの紹介があった。
    • シール材塗布アプリケーション
      • マシニングセンターなどの加工機を参考にGコード、CAD/CAMソフトの仕組みを活用できないか検討。TwinCAT NCIモジュールを採用。
      • GコードとPacScriptの制御使い分けが可能。
    • 電子カム(付加軸との同期制御)
      • 従来では、同期の為のシステム構築、プログラム実装に工数がかかる。
      • NCの拡張機能である電子カム機能を提供するパッケージ TwinCAT NC Cammingを採用
    • 食品工場での音声指示
      • 衛生面から操作盤に触れずにロボットを制御したいニーズがあった。
      • TwinCAT上で実行可能な音声認識ソフトウェアパッケージ TwinCAT Speechを採用。日本語だけでなく複数の言語に対応。
        音声入力・出力にはMicrosoft SAPIまたはPolly(Amazon)を使用。
      • 登録した音声コマンドとPLC認識文を対応させ、特権タスクとして割り込ませることで制御する。
  • 複数台ロボットによる高速同時作業を可能にする動作生成の技術開発
    • 近年設備でのロボット使用が増えているが、ロボットの台数で生産量に対応することが増えている。従来はVRC(Virtual Robot Controller)と電子カム制御を用い、熟練エンジニアの調整によって成り立っている。かつ複数台の場合は最適化が困難。
    • 動作生成技術の概要
      • Sim環境の構築 
        • 3Dモデルの配置
        • 配置キャリブレーション結果の反映
      • 事前学習 
        • ランダムにロボットを動作させて、動作可能な範囲をマップ化
        • 10分程度の作業
      • 動作条件設定
        • 把持、設定位置、吸着待ち時間
        • 動作順序設定
        • 安全距離設定
      • 動作生成
        • 事前学習と動作パラメータから初期動作を生成
        • 初期動作を動作時間を最小にするように最適化
      • 制御波形を出力
        • 電子カム用に制御波形を出力(CSV形式)
    • 動作生成技術の評価結果
      • 3台同期制御のデモ機の条件でサイクルタイムは20%以上低減
      • 動作設定工数は1日→16minと低減
  • ChatGPTを活用したロボットプログラミング簡単化へのアプローチ
    • 工程のことは良く知っているが、コンピュータリテラシーが高くない人が容易
    • ChatGPTはPythonやC#などメジャーな言語では自動生成されたコードの精度が高い。
      一方でロボット言語であるPacScriptはそのまま使えるようなものは生成されない。
    • またフローチャートの作成能力はかなりあり、ロボットプログラムなどで頻繁に使用する修正、追加などでは活用が可能である
    • PacScriptの記述ルールをプロンプトに入力してやれば、簡単なロボットプログラムなら作成可能。
  • LLMからAIスキルをコントロールするIntegral Task Plannerによる自然言語での動作プログラム生成
    • 2021年からデンソーロボットをAIでリアルタイムで制御する汎用アプリケーション”AI模倣学習”を販売している。
    • 活用可能な作業は、人の感覚に依存している作業、複雑な条件、計算によって成り立つ作業<例 美味しいインスタントコーヒーの淹れ方>
    • AIの核は米国・Google社出身のエンジニアが設立したAI企業のintegral AIを採用しており、早稲田大学の尾形教授もアドバイザーとして参加している。
    • 高度な自動化開発の為のAIカスタム開発サービスを提供しており、現在はピック&プレース、ケーブル配策、液体秤量・粉体秤量などを提供しているが、随時拡充している。
  • 実演解説!!ゲームエンジンUnityによるデジタルツインの実現
    • Unityをベースにしたデジタルプラットフォームであるrealvirtual.ioにDENSO Robotics AddOnをアドオンすることで、デンソーロボットと周辺設備の動作シミュレーションがノーコードで実施可能。
    • virtualreal.ioの機能はCADデータのインポートモデルの動作定義センサ設定モデルの外観設定、PLC連携物理演算がある。
    • DENSO Robotics AddOnの機能はデンソーロボットとの接続把持、吸着設定である。
    • ロボットの動作はWINCAPSⅢで作成し、VRCで出力したジョイント角等の情報を取得するため、WINCAPSⅢ、ORiN2 SDK、VRCのソフトウェアが必要となる。
      上記の為、Unity上で動作を変更したりはできなく、Unity側で取得した数値などを動作プログラムに自動で反映することはできない。
      realvirtual.ioを使い、コードを自作すれば可能。